ED（勃起不全）は、もはや珍しい症状ではありません。国内では軽度を含めて約3人に1人の男性が経験するといわれ、多くの人が密かに悩みを抱えています。ところが、その原因を正しく理解できている人は決して多くありません。原因を知り、的確に対処すれば、症状が劇的に改善するケースもあります。
本記事では、とくに見落とされがちな「心理的要因」に注目し、EDの主な原因をわかりやすく解説していきます。
EDとは？
ED（勃起不全）は、性的刺激を受けても陰茎が十分に硬くならない、あるいは硬さを保てない状態を指します。加齢のイメージが強いものの、患者のおよそ4人に1人は40歳以下の若年層ともいわれており、年代を問わず起こり得る症状です。
男性が性的刺激を受けると、副交感神経から一酸化窒素が放出され、陰茎の海綿体（スポンジのような勃起性組織）内でcGMPを増やします。この物質には陰茎の血管を拡張させる働きがあり、血液が流れ込んで勃起がおこります。
勃起が収まりに向かうと、PDE5という酵素がcGMPを分解して血流を通常状態へ戻します。この「cGMPが増える → PDE5が分解する」というバランスが崩れ、陰茎に十分な血液が行き渡らなくなると、勃起が起きにくくなります。
EDの主な原因は２つ
身体的要因
加齢や運動不足、生活習慣病などにより血流が悪化すると、陰茎に十分な血流が供給されなくなり、陰茎の血管が拡張せず十分な勃起が行えなくなります。
心理的要因
日々の生活で感じる様々なストレスやパートナーからのプレッシャーなど、強い心理的ストレスにより脳内の神経伝達物質が減少し、情報の伝達に支障が起こります。視覚や触覚から入ってきた性的刺激が、脳から陰茎にしっかり伝わらず、勃起がうまく行えなくなります。
実際、EDの約20％はこの心理的要因が関与しているとされ、特に20〜40歳の若い世代で多く報告されています。
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心理的原因6つと対処のヒント
心理的要因が関わるEDは、ストレス源を特定して適切に対処することで、症状が大幅に改善するケースも報告されています。以下の6項目を確認しながら、最近の生活リズムや精神的コンディションを客観的に見直してみましょう。
①仕事でのストレスの蓄積
人間関係の摩擦、責任の重圧、役職や業務内容の変化などが続くと、自律神経のバランスが乱れやすくなり、EDの発症リスクが高まることが報告されています。
業務量を調整したり、定期的な休憩・軽度の運動を取り入れることでストレスホルモンが減少し、勃起機能の回復につながる可能性があります。
②パートナーとのマンネリ化
長期的な関係で刺激が乏しくなると、性的興奮を司る脳内ネットワークが活性化しにくくなり、勃起が十分に得られない・維持できないケースがあります。
いつもと違う体験を加えるとドーパミンが出やすくなり、性反応が高まりやすいといわれています。たとえば、行ったことのない場所でデートをしたり、スキンシップの方法を少し変えたりするだけでも効果が期待できます。
③性的パフォーマンスへの過度な不安
「うまくできるだろうか」「相手を満足させたい」と考え過ぎると、緊張により勃起が続きにくくなります。マインドフルネスや認知行動療法（CBT）によって現在の瞬間に集中するトレーニングを行うことで、症状の軽減が期待できます。
④自己肯定感の低下
「自分には相手を喜ばせる力がない」という思い込みはパフォーマンス不安を助長し、悪循環的にEDを引き起こすことがあります。
成功体験を積み重ねるほか、カウンセリングで自己認知を修正することで肯定感が高まり、性的自信も回復しやすくなります。パートナーからのポジティブなフィードバックを意識的に受け取ることも効果的です。
⑤うつ病
厚生労働省の調査によると、EDの人はうつ病を抱えている割合が一般の約 2.6 倍に上ります。
気分障害を治療するとEDが良くなる例も多い一方で、抗うつ薬（とくにSSRI）には性機能が低下する副作用が出ることがあります。その場合は、薬の種類や量を調整して副作用を抑えられることもあるので、必ず主治医に相談してください。
⑥過度のポルノ視聴・自慰行為
ポルノを頻繁かつ長時間視聴していると、脳はその強い刺激を「標準」として学習します。すると、現実の性行為では刺激が足りないと感じやすくなり、興奮や勃起が続きにくくなることがあります。
自慰行為も、速いリズムや強い刺激に慣れ過ぎるとパートナーとのギャップが広がるため、刺激の強さやペースを見直すことが大切です。視聴時間を減らす、一定期間ポルノを断つといった「リセット期間」を設けると、勃起が安定したという報告もあります。
ED治療薬は原因を問わず有効？
ED治療の有効な選択肢の一つとしてED治療薬があります。ED治療薬は、性行為を行う前に飲むことで一時的に勃起力を改善してくれる薬です。ED治療薬は陰茎に流れる血流を改善することで勃起力を向上させるので、原因に関わらず効果を発揮してくれます。また、心理的原因によるEDの場合、ED治療薬を継続して服用することで、「治療薬を服用したから大丈夫」という自信に繋がり、治療薬が要らない状態でも十分な勃起を促せるほど回復することもあります。
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まとめ
EDは年齢や背景を問わず起こり得る症状ですが、原因を正しく把握し対策を講じれば、大きく改善する可能性があります。生活リズムの整備やストレスマネジメント、パートナーとのコミュニケーション改善は、勃起機能を支える土台づくりにつながります。
加えて、ED治療薬は身体的・心理的いずれの原因にも効果が期待できる有力な選択肢です。副作用や禁忌を避けるためにも、使用を検討する際はかならず医師に相談してください。
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